$ 0 0 『草を掻き分けて半日』「こけし時代」より 散歩に疲れた石蔵こけしはよく草に寝る。静かで暗い蕗の中がお気に入り。 雨が降っても唐傘いらぬ。秋田の蕗は切ってかざすと傘になる。秋田の殿様はそれを大層自慢した。 六月、おばこたちが刈るまでは、石蔵こけしは蕗の中。 ああ、蕗漬をしゃぶりたいな。蕗羊羹を舐めたいな。青くさい草の中で半日。蕗の露に胴が滲む。以上。