御所人形ほど、人形の姿と名前がぴったりしている人形も珍しいと思います。翳りのない男の児の可愛らしさ、おかしみといったものを、ものの見事にとらえたこのような人形、誰がはじめに作ったのでしょうか。男の児でも、これほどの輝かしいさをそろえていれば、自然に連想するのは高貴な身分、富裕な世界であります。御所人形という言葉がいかにもふさわしいのも、そのためかもしれません。日本人形の歴史が生んだ傑作と言えます。江戸時代・大阪市立博物館蔵。読売新聞社『日本の人形』より。
※ 御所人形とは、江戸時代の中期から、京都で作られた童形の人形、木彫の母型の上に胡粉を厚く塗り重ねて作る。裸のものが多いが、着物を着せたものもある。「御所人形」の名称は、初め、御所に贈り物をした諸大名、、、、 。