「こけし手帖」昭和59年1月号 『こけし・あれこれ』葦文六郎著より。
「昭和2年1月に、仙台市に日本で最初のこけし専門店「小芥子洞」が開店した。天江富弥さんと三原良吉さんの二人がはじめた店である。少年の私は、その変わった店で、形も色も違ったいろんな種類の「きぼこ」を見て驚いた。しかも東北地方からだけしか出ないことを、この時はじめて知ったのである。しかし、「小芥子洞」の大人たちは、私の訪ねる時間には、いつも『今日は店じまい』と言ったきりふりむきもせず、酒を飲みながら大人同士で雑談をしていて、私にはなにも売ってくれなかった。私がこけしに魅せられて収集するようになった動機は、この「小芥子洞」の店であった。
この店には、いまではこけし美の双璧といわれる仙台の胞吉(えなきち)や、木地山の久四郎などがごろごろあって、昭和3年頃閉店するまでの様子が、いまでもあざやかによみがえる。」以上。
※ そんなことがあったのですね。私が知っている範囲では、、、、。
『天江コレクション』仙台市国分町二丁目五の天江富弥氏のコレクション。天江氏は斯界の草分け者で「這子」の著者として有名である。
『三原コレクション』三原良吉氏は、天江富弥氏と共に大正12年より昭和初年にかけて仙台小芥子会同人として活躍した。