「こけし友の会」の 国府田恵一氏の例会ギャラリーより。
「2年程前、インターネットのオークションに、頒布こけしが纏めて出品されたことがあり、その中に大中小三本の善吉こけしがあった。善吉こけしを持つことなど夢のまた夢と思っていたが、目前にこのようなチャンスが現れると、蒐集欲が掻き立てられ、幸運も重なってこの三本を一遍に手にすることが出来た。木形子洞頒布の善吉は昭和7年に当たり善吉中期の作で、評価の高い目の大きな迫力のある表情ではなく、やや寂しげな憂いを持った表情が特徴である。(写真 砲世こうして三本を並べて見ると、小は元気でやんちゃな幼子を、中は初々しい乙女を、大は二人の子供を優しく見守る母親のように思えてしまう。それは昭和初期の東北の家庭そのものであり、見ているうちにその時代にタイムスリップしてしまうようである。
数年前、山河の響きの会の東京展で上京してきた荒川洋一工人にこの三本の写しをお願いした。一年余りを要して出来上がった善吉こけしの写しは見事なまでに善吉の面影を再現してくれた。(写真◆北姪櫃覆願いを引き受けて頂いた洋一工人に感謝したい。」
※ 土湯系・荒川洋一工人(昭和13年生れ)は、岩本善吉工人(明治10年~昭和9年)の二男、岩本芳蔵工人(明治45年~昭和48年)に木地挽きを習い、昭和46年よりこけしを製作。その後、岩本善吉型古型を復活。木地も描彩も優秀で、特に描彩は特に素晴らしい。