Quantcast
Channel: こけしおばちゃん
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1909

こけし感傷

$
0
0

 
 「鏡には月灯り白粉の指跡」山の娘のまなざしは、たとえば埴輪の黒い目。たとえば三日月の銀色の目。たとえば猛禽類の凝視する目。
 こけしも化粧をする。鏡のそばに飾られたこけしは、おばこの真似をして白粉なんぞを匂わせる。
 泥湯の宿で、明り取りの丸窓からこけしが見えた。薄暗い中に、化粧したような山の娘が、こっちを見る。湿った風に、しばしむせた。
 写真・文は「こけし時代・特集木地山」より。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1909

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>