昨年来新型こけしの売れ行きが半減した現象は、伝統こけしの社会にも大きな波紋を及ぼしている。
新型こけしの悪徳業者の一部は、伝統こけしの隆盛と値上りの現況に着目して、偽物こけしを大量生産し、それを半値以下で卸し、大衆をだまして、巨利をむさぼっている事が明らかになった。そのやり口は巧妙で、サインだけを、本人に書かせて、木地から描彩までも、まったく他人まかせということさえある。また一方堕落した工人の一部には、木地も描彩も他人にまかせて、自分のサインだけで地方頒布会に大量放出している例がある。これは、工人自ら、自分の首を締めるようなものである。
昭和58年に求めた「こけし事典」の抜粋です。写真は関係ありません。
※マニアたちは、こけしの作者も、形もよく勉強しているから、間違いはないのですが、このようなこけしがあれば、憤りをおぼえますね。