東京こけし友の会・大原裕子氏より
その当時こけしを集め始めて間もなかった私は、佐藤誠考工人からの寒中見舞いに描かれたひなもこけしの胴模様も取り入れていた。早速気に入り注文、英之工人作で白木の台、ぼんぼり等が一緒に送られて来た。そして一番多く収集したのは鳴子の工人だった。岡崎斉一、大沼秀顕、早坂利成、高橋義一、柿澤真理子、後藤皓、須貝國男、高橋輝行工人である。何組か買って入院していた友人に届けたりし、病室が明るくなったと喜ばれた。
木地山の高橋雄司工人は東京でお会いしお願いすると「秋田に帰って文献をひもといて・・・」とのご返事。送られて来たのは裏に平成7年初作と書かれた素朴な立ちびなで良い記念になった。小野寺正徳工人の形の違った二組も素朴で良い。
津軽の笹森淳一工人にお会いした時、描彩を相談したところ、牡丹絵に胸の部分のアイヌの唐草模様の中に笏と扇が自然に取り入れられた座りびなだ。阿保六知秀工人の迫力のある牡丹絵が浮き出ていてよい。又、三角の形をした今晃工人の可愛い小さなひなも右手にはちゃんと笏が書かれていて素朴なものだ。
その他には石井信明、田中恵治、志田菊宏、高田稔雄工人作もある。高岩寺の東北復興支援で昨年参加した早坂政弘、日下秀行工人にもこけしの胴模様、重ね菊を実演の合間に作っていただいた。
今年に入って購入した櫻井昭寛工人のひな。鳴子に行くたびお店を訪問、同じ描彩のちがったフォルムのひなを友人とみたりするのも楽しいひと時だった。何組か揃ったので昭二工人が「ひいな」と呼んでいたたちびなをお願いしていたら、顔を変えて二組の「ひいな」と黄色の胴の座りびなが届いた。帯の位置が昭二工人のものより少し下の様だ。櫻井工人親子の「ひいな」が揃った。(写真)
今回例会ギャラリーでこけし絵が入ったものにこだわって集めた約40組の木地びなを取り上げたが、改めてここで一度立ちどまり、違った形式のひなを展示会等で見てみようと思っている。以上。