こけしは木形子・小芥子・於けし・木削子・小笥子などさまざまの当て字が語源的解釈と共に使われているが定説がない。その方言は東北地方に実に多く、自らこけしの東北発生を示しているようである。方言は大体四つの分布圏に分かれる。
(1)でこ方言区(圏)
きでこ(福島・飯坂)、おでこさま(会津)、でころこ(原の町)、でく(山形県小野川)、でくのぼう(山形市・肘折)。
(2)ぼこ(ほうこ)方言区(圏)
きぼこ・おっとこ(伊達郡)、きおぼこ・おぼこ・にんぎょ(刈田郡)、 きぼこ・きんぼこ・きぼっこ(仙台市)、んぼっこ(山形市)、きじぼ ぼ・きじぼこ(花巻)、ながおぼこ(温湯)。
(3)こけし方言区(圏)
こげすんぼこ(仙台市)、こけし・こけす・大坊主・たっこ(鳴子)、こ げす(肘折)、こけす・ひょうたん(酒田)、こけしぼんぼ(秋田県湯沢 )、こけすっこ(岩手県和賀・湯田)。
(4)きなきな方言区(圏)
きなきなずんぞこ(一の関)、くなくなこげす・きくきく坊(岩手県胆沢)、きなきな坊(岩手県上閉伊郡)、かっくろ・かっくろ棒(秋田県角館)
※ 以上のうち、でこ系は会津福島方面に、ぼこ系は陸前南部に、こけし系は同 北部に、きなきな系は南部地方にそれぞれ中心使用圏がある。でこ系は北会 津木地師の土湯系に、ぼこ系は熊沢系に、こけし系は鳴子系に、きなきな系 は南部系に大体当たる。