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Channel: こけしおばちゃん
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「こけしとの再会」

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 『こけし手帖』平成17年8月号 535号より
 最近は、面白いことが続き、気分を良くしている矢先に、36年前に所有していたこけしに、会えたのである。だいぶ前にも、高橋盛さんに会えたのであるが、今回は、伊藤松三郎さんがいたのである。
 流通の範囲は、そんなに広いものではないのだろうが、それでも、確率的には難しいのではないだろうか。しかもこけしを扱う店ではなく、露店の古物商となれば、さらに難しさを増すと思える。
 この松三郎は(写真は別です)、鬼頭温泉にスキーに行ったときに、入手したうちの一本である。記録によると、昭和40年2月から45年まで所有しており、就職初期時代のスキーの友であり、岳友でもある友人にあげたものである。
 ここ5年程、音信不通状態となり、どうしているのかと心配していた矢先であり、何か胸騒ぎを感じていたのであるが、やはり転職引越後、入退院を繰り返し、肺がんで亡くなられた、と12月の挨拶状で知らされた。早速線香を供えさせてもらい、雑談の中で奥様に確認したところ、お嬢さんに、だいぶ昔(昭和54年)にあげたそうで、箪笥の上にずっと飾られていたとのこと。そのお嬢さんも、平成15年に結婚され、身辺整理のかたずけの品物の中に、松三郎もあったようだ。大分色あせているが、大事に飾ってくれた形跡がある。しかし処分から、1年強の月日がたっており、その間に、顔や胴に生傷も増え、辛い思いをしたように感じられた。
 収集も運の内と誰かが言っておられたが、意外な形での再会であり、形見にも似た形となってしまったようだ。
 散歩がてら立ち寄った骨董市での出来事もこんな再会となってしまったが、うろうろ散歩運動法は、意外な成果をもたらすものである。友人にこけしをあげる、そしてそのこけしが、何らかの役立の一端を担ってくれれば、充分満足である。
 奥様が、持参したこけしをしみじみと眺めていたのだが、今も強く印象に残っている。
 以上。こけし友の会・吉田 博人氏著。

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