『こけし手帖』平成18年2月号より。
企画展「平賀貞蔵の世界」訪問記 平塚俊夫氏著より。
去る11月6日(日)同館を訪問し、企画をされた同館学芸員の青野由美子さんと展示コレクションの持ち主である和田武(仙台市若林区白萩町31-20)さんを取材した。青野さんは、常設の亀井昭伍コレクションとは別に、特定の工人に照準をあてた展示を企画し、既開催の「今晃」展に続き第二回の企画展になるとの事でありました。
今回は「平賀貞蔵工人」に焦点を当て、和田コレクションを基に「作品」だけでなく、同工人の生き様までを俯瞰するような力の入った展示となっていました。同工人の作品を数百本所有する和田さんのコレクター魂の真骨頂とでもいうのでしょうか同工人が日常使用していたお手製の作業用電気スタンドに始まり、こけし販売の為の「書きつけ」や工人が手慰みで書いたと思われる「こけし小唄」の色紙やら、様々なものが展示されていました。
又、昭和50年当時の和田氏撮影の写真記録の同時展示されていて、往時の砂利道に繋がる作並駅や
工人宅・杉林の中の作業小屋、轆轤に向かう工人等臨場感溢れるものでした。和田さんから作品に纏わる思い出や工人との語らい等様々なお話を拝聴した。一時コレクターからは賛否両論あった朱色の千段巻きの作品や瓜肌かえで木地の作品等紹介を載く。前述のリズミカルに巻かれた線描等技術面での冴えも大変興味深いものでありました。
企画展の添え書きにあった「無限と思われる豊富な形・描彩・巧みな技」を改めて実感させる展示でありました。又、コレクターの工人に対する思いが込められて楽しく、且つ心温まる展示でもありました。この企画展は10月4日から2月5日迄開催されるとの事であります。仙台方面にお出かけの際は是非共お立ち寄り下さい。作並こけしファンは必見、郷愁に浸ること請け合いです。以上。
※ これは、もう10年も前の展示ですが、四国松山からは、仙台までちょっとと言う訳には行けない。すごく残念に思います。