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Channel: こけしおばちゃん
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「洒脱な松田初見こけし」

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 『こけし手帖』平成18年11月 550号より
 明治34年鳴子に生まれる。12歳(大正2年)の時、高野幸八工人の弟子となり木地修業を始める。実際の指導は兄弟子の鈴木庸吉工人の指導を受けたといわれる。7年の修業を収め、19歳(大正9年)で独立し鳴子で開業する。その後、仙台及び湯沢の木工所で3年間程働き鳴子へ戻る。
 写真右のこけし(9.3寸)は、昭和15年(39歳)の作と思われる。
 初見工人のこけしは70年近くの長期に渡り製作されている為、戦前と戦後では大きな差異が見られる。
 戦前の特徴は前髪の後のふくらんだ形、横鬢は外側ほど長い。特に目立った癖は無く、画描は整った表情と洗練さをもった洒脱な上、明朗な張りのあるこけしが特徴です。
 写真右は、一筆目に眼点、前髪の後のふくらんだ形、横鬢は外側ほど長く、面描は整った表情とあかぬけており嫌味が無く左右対称である。肩は量感のある古鳴子と思わせる。胴は直胴で胴模様は写実的な張りのある鳴子伝統の菊である。何時まで見ていても飽きないこけしである。
 文献によりますと鳴子でロクロ線に緑を最初に使用したのは初見工人が最初といわれる。写真右側では明確に識別できないが上・下のロクロ線に僅かな緑線がのこっている。
 写真左から2番目は初見工人76歳作の7寸で、隣りは30歳代後半のこけしと見比べて頂くと大きな変化に気づくのは私だけであろうか。全体のバランス、表情はあかぬけて嫌味が無く、胴模様は張りがあり素晴らしい。左側は、長男の三夫工人の一尺です。
 初見工人と三夫工人のこけしを木偶相聞(植木昭夫著)に掲載された昭和15年頃の一尺こけしと見比べてください。弟子には熊谷正工人と菅原直義工人がいます。以上。「例会ギャラリー」より。田中厚志氏著。

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