『こけし手帖』平成26年10月 645号より。こけし友の会・春日寛司氏より。
第62回山形県こけし会は、こけし工人、愛好家、業者の3者が参加しているユニークな会である。創立は東京こけし友の会よりも一年歴史が古い。
東京発10時の山形新幹線で新庄へ。”よく来でけったにゃ”と歓迎されて、バスで肘折温泉へ向かう。駅前から町の中を暫く走ると田園の中へ。だんだん上り坂になり山の中へ入って行く。緑が目に心地良く、遠景には月山が望まれるが、今年は例年より雪渓が大きいとのこと。月山は7月上旬までスキーが出来、夏は高山植物の宝庫として有名。また、ここ肘折温泉は月山の登山基地としても知られている。
最上川の支流銅山川の清流に沿って温泉街が開かれ、山の湯治場らしい雰囲気が今でも色濃く残っている。山菜の名所でもあり、秋に行われる「なめここけしまつり」では来訪者になめこ汁が降る舞われ、こけしの即売もあって賑わう。
以前は、奥山庫治、佐藤重之助がここでこけしを作っていたが、現在では鈴木征一工人が一人で奮闘されている。
山形県こけしの総会は、15時から17時までなので、一般の参加者は温泉街を散策したり、外湯巡りを楽しむ。ほていや、鈴木商店といった老舗の土産物店を始め、各旅館には肘折ゆかりのこけしが陳列・保存されている。外湯は上の湯、肘折いでゆ館、カルデラ温泉街の3軒で泉質はナトリウム炭酸水素塩温泉で骨折等の外傷、神経痛、リュウマチ等に効用がある。宿の内湯は男女別の浴場と昔ながらの混浴場とがある。つづく。