コンクール受章者は秋田県知事賞・三春文雄、湯沢市長賞は阿部市五郎、秋田県魁新報社賞・小野寺正徳、河北新報社賞・小椋英二、朝日新聞社賞・本間功、毎日新聞社賞・菅原修、読売新聞社賞・佐藤達雄の7工人であった。
無審査工人は高橋雄司工人、阿部陽子工人の二名である。長い間木地山こけしを作り、その優秀な技術と地元に貢献されていることが評価されたとお聞きした。
最高賞の秋田県知事賞は三春文雄工人で小椋石蔵型である。従来の絣前垂れ模様ではなく、簡素な絣前垂れ模様がスッキリとしている。三春工人の信念である原に忠実に作る事であるが、最近は自分の作風が加味して表現しているのは流石である。
今回初入賞の佐藤達雄工人は沼倉孝彦工人の木地の師匠でもある。描彩の沼倉工人、木地の佐藤工人の二人が協力し合えばこれからこけし製作活動が広がりそこから生まれるこけしが楽しみである。
他の受賞作を含めて展示即売に並ぶこけしはそれぞれ原に近い出来上がりが目立ち、各工人が伝統性を尊重されているのを感じた。
展示こけしでは高橋雄司工人、本間功工人の両ベテランや阿部市五郎工人、佐藤達雄工人、柴田良二工人は沢山のこけしを出品され買う立場になって色々なものが選べるのは楽しかった。
東京八王子の小椋英二工人の小椋久太郎型を出品していたが、ボリュウム感ある前垂れこけしは中々存在感があった。
秋田県こけし工人会の皆さんがひとつになって木地山系や他系統のこけしの発展に協力し合って頑張って頂ければ、これからますますこけし愛好家の人が秋田へ訪ねて来てもらえると思った。
※ 会場2階の「七夕絵どうろう」を見た。美人画や浮世絵が夜空をかざる美しいお祭りであろう。同時期に夏のこけし展を開催されたら楽しいのではないだろうか。以上。「秋田県こけし展報告。」こけし友の会会長・橋本永興著より。