山形系・会田栄治こけし工人(昭和4年10月9日~平成27年3月11日、享年85歳)は、天童市久野本に生れる。戦後、丹野辰彦工人の下で木地修行をする。昭和24年久野本の自宅で独立し神尾長八工人のこけし・玩具木地に描彩を行う。長八工人が亡くなった後、昭和29年頃から形態と胴模様は山形系の倉吉工人のものを基本にしながら、頭部や鬢は蔵王系の影響がみられる長八型のこけしを製作するようになった。
各種こけし祭りで最高賞を受賞し、名誉工人および無審査工人として登録された。
栄治工人は久野本こけしにただならぬ興味を持ち50年以上こけしの製作を続けてきた。主に長八型の直胴型・地蔵型・鉋溝入り・黒頭などの各種こけしを製作した。
写真のこけしは、代表的な長八型です。頭部と鬢は蔵王系の影響が濃く、三日月目・割れ鼻・口には紅が入り・頬にも薄らと紅・直胴で上下に赤と黒のロクロ線・中央に小林一家の特徴ある胴模様です。
栄治工人が愛して止まない久野本こけしが素晴らしく再現されてこけしフアンをうならせたのです。いつまでもお体に気をつけて活躍して欲しかったですね。
※ 私も、お元気な時に、天童の会田工人のお店をおたずねたのですが、ちょうど、息子さん(会田稔工人)を亡くされた時だったので、お気の毒でした。寂しい限りです。