「伝統こけし」は、東北地方に生まれ、東北地方特有の風土で育むられた木地玩具(木地を挽いて出来た玩具)の一種です。東北の特に温泉地を中心に発達しました。木地職人が器や盆などを作る傍ら、湯治客相手に子供の安価なおもちゃ(おみやげ兼着せ替え人形)として作ったのがはじまりだと考えられています。
東北の各地方ごとに独特の形態や描彩(模様、表情)を持った様々な「伝統こけし」が根好き、工人(伝統こけしを作る人)の師弟関係によって、今日まで長きにわたって継承されているのです。
「伝統こけし」という名前は、こけしの技法を用いて東北に限らず全国で作られるようになった「おみやげこけし」や「創作こけし」が戦後ブームとなり、それらと差別化するために付けられました。それまでは「こけし」といえば伝統こけしの事でした。つまり一般的に知られている「こけし」の元祖にあたるのが「伝統こけし」なのです。
なお、伝統こけしには、各地域、各師匠などにより、11系統にそれぞ分かれ、それぞれ形・姿があって、極めていく楽しみがあるのです。