秋保温泉には、仙台系の伝統こけし(胞吉こけし)を中心にしたこけし工房「玩愚庵こけし屋」がある。
写真の胞吉こけしは、作並系こけし工人・高橋胞吉(文久元年~昭和14年)高橋亀吉長男。高橋家は仙台藩御抱え木地師の家柄だった。胞吉の木地系譜については判然としない。「こけしの世界」参照。
胞吉こけしの評価は極めて高い。収集家の仲間で”三種の神器”視されるのは、木地山の久四郎、肘折の周助、それに胞吉である。他の二者は気品と凄みで迫るが、胞吉のこけしは頼りない。眉毛は不揃いで弱々しく、胴を握るといびつな触感が残る。素朴・雅趣・古拙・可憐・枯淡、、、など固有の形容詞もぴったりこない。「こけしの世界」より。
胞吉こけしは、黒と赤の二色だけの大胆な描彩で清純さと渋さが混じりあい、一部のこけし愛好家からは”幻のこけし”と呼ばれていた。