もし東北旅行に行って、旅先からた大切な人に便りを出すとしたら、こけしマニアならこけしの切手を貼って出したいものです。こけしは東北のの顔であり、東北で生まれ育った人にとっては懐かしいふる里を思い出す郷愁の”色と形”なのかも知れない。
こけしが始めて切手に登場したのは昭和30年のこと。翌昭和31年の年賀切手用図案として、宮城県の郷土玩具「こけし」と「えじこ」が選ばれた。
人形や郷土玩具が年賀切手に登場したのは昭和28年の「御所人形」が始めてで、翌29年は石川の「加賀八幡起き上り」、30年は福島の「三春駒」、31年の「こけし」の翌年は長崎の「鯨のだんじり」がそれぞれ選ばれており、年賀切手イコール郷土玩具という共通イメージはこの頃に端を発する。
昭和31年の新年は、年賀状に貼られた「こけし」が、春を待つ人々の心をなごませたに違いない。
このこけしは、遠刈田・佐藤好秋作。昭和15年前後のものと思われる。えじこのほうは好秋の作でもなければ遠刈田のものでもない。実は、弥治郎の新山栄五郎作で、やはり昭和10年代のものである。「こけし時代」より。