こけしのマッスには、独特の魅力がある。それは静かで温かい。微笑の洪水でもある。千や二千のこけしを集めるのは比較的簡単であるが、質を高め、古品良品や問題作や研究資料を集めるのはそう容易でなく、長年の努力と熱意と勉強が必要となる。小林教授は特異の審美眼と収集意識を持っていられ、特徴のあるコレクションをしていられる。収集は人であり、収集品はその所有主の性格を語るともいわれる。こけしも例外でない。三蔵・広史・粂松・善吉・吉太郎・盛秀太郎・永吉など、注目すべきものが少なくない。巳之助・昭一・嘉三郎・吉雄・英治・栄五郎・伝伍などの小寸物も良い。「こけし・美と系譜」より。
写真は「小林昇氏コレクション」です。小林昇氏(大正11年~平成22年)は、日本の経済学者、立教大学名誉教授。こけしコレクターとして活躍し、福島市の「原郷のこけし郡西田記念館」に寄贈している。