『こけし・美と系譜』より
「たまるこけしを限られた生活空間での中で、どのように合理的に美しく処理するかは、いつも私達こけし党の問題とするところである。堆積になるのをさけ、玩具屋の店頭や倉庫となるのを防ぐために、余分の品を部屋に置かぬようにつとめねばならない。中屋宅では、一種の箪笥の中に紙包みしない裸ののままのこけしを入れ、いつでも直ぐ取り出せるようにし、居間の方には、観賞用の極く少数のものを並べこれを少しずつ変えている。こけしを磨き、ちりや埃を取ったりして手入れすることは、こけし美を発見する一つの道でもある。床の間の高橋忠蔵（50センチ）は、黄と赤が強烈で勝川春扇の浮世とよく調和している。違い棚には土湯系ばかり並べた。」
写真は「部屋の中のこけし・中屋宅」です。
※中屋コレクション。東京都新宿区西落合の中屋惣舜氏のこけしコレクション。こけし娯屋と称す。全工人のものを網羅的に集めるのではなく、質的に高く、保存に良いものを中心に収集し、特に土湯系に重点を置いている。